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誰も知らない精神病院の1日『素朴な疑問 精神病院とはいったいどんなところなのか?』③

キワ土井ネタ美
文/潜入ライター・キワ土井ネタ美

誰も知らない、知りえない情報を紐解くのが大好きな文筆家。
でも意外に、花を育てるのが趣味。


前編はこちら

誰も知らない精神病院の1日『素朴な疑問 精神病院とはいったいどんなところなのか?』②

給食はやけど防止に
冷めている

午後5時半。棟内放送がかかり、夕食の時間になる。
フロアに患者が集まり、すでに配膳されたテーブルにつき、全員で食べる。

献立は、管理栄養士が立てたメニューで、
身体疾患(糖尿病、痛風、腎疾患、肝疾患)の有無によって、それぞれ料理が違う。

一般的な入院患者であれば、メインのフライ物(もしくは焼き魚、生姜焼きなど)と
つけ合せの生野菜・温野菜、ご飯、味噌汁に漬け物がつく。

火傷などの心配があるので、給食はすべてぬるい。味は想像通りマズいが、
入院生活唯一の楽しみである食事への患者のがっつき方は凄まじい。
なにしろ、自分の食べたいものを紙が真っ黒になるまで書き続ける患者が多いというのだから、
食への執着はすごいという。

皆10分程度で食事を済ませ、看護師の前に一列に並び、
処方された薬を順番に飲んでいく。

精神科の薬は“向精神薬”。
抗精神病薬、抗うつ剤、抗躁剤、抗不安薬、睡眠薬、抗てんかん薬などがある。
飲み終えたら、口を開き、ちゃんと飲んだかを看護師にチェックしてもらう。
毎食後365日、この流れが続く。

それから、消灯の9時までは自由時間。皆思い思いに過ごす。
思い思いといっても煙草を喫ったり、本を読んだりするくらいしかできず、オセロやトランプ、
将棋盤など、凶器になってしまうようなものは置いてはいない。
ただ、ボォ〜っとしているだけだ。周囲から響く奇声は昼夜を問わず続く。

精神病院1

「夜の9時になんて眠れるわけがない」と思うだろうが、
食後に飲んだ安定剤には誘眠作用があり、心配しなくてもぐっすりと眠れる。

精神科医は
長持ちしない

翌日は7時起床。ごそごそと患者たちが起きだし、
1日のはじまりは番号のついた電気カミソリでのヒゲソリからはじまる。
剃っている間も看護師が刃を隠したりしないように監視。

精神病院2

その後は歯磨き。トイレの前に10ほど並んだ洗面台は場所の奪い合いになる。
毛羽立った歯ブラシから滴る、血の色が混じった泡が洗面所の床を汚す。

7時半から朝食。登場回数の多いメニューは、スクランブルエッグとソーセージ、
ご飯、味噌汁、牛乳。夕食同様、冷たくてマズい。足りないのか、
残飯入れをグチャグチャとかき回して食べている患者もいる。
それを横目に、薬の列に並ぶ。

8時。ナースステーションで採血。治療プログラムを説明される。
それが終わると、また自由時間。いくら暇でも外出はできない。買い物を看護師に頼む。
飲食物は大体なんでもOKだが、人にあげたり、食べさせたりしてはいけない。
鋭利な物や刃がついたものは不可。凶器になりうるものに病院側は敏感だ。

テレビは古参者が抱きついて独占。再び、ボォ〜っとして過ごすしかない。
電話は『精神保健福祉法』で認められているため、公衆電話からかけられる。
テレフォンカードは看護師に頼み、ナースステーションから購入する。電話はできるが、
毎回看護師に返還することが義務付けられている。時間の制限もない。

のんべんだらりしていると、朝の診療に呼ばれる。
診療はナースステーションの奥にある診療室で行われる。

治療を行う医師は、大学病院や公私の精神科病院の精神科で3年の専門臨床を経験した精神保健医が担当する。
医師と対面での精神療法では、体・症状の具合、薬の副作用、日常生活の過ごし方などほとんどが会話で済む。
その他は、薬物治療をはじめた後の心電図、血液検査などの検査が行われる。

しかし、この精神科医という生業。医師のほとんどが、情緒不安定などの異常をきたし、長続きはしない。
支離滅裂な話をずっと聞き続けていれば、おかしくもなるだろう。
一歩間違えば、直木賞受賞作『空中ブランコ』の主人公の精神科医のように変人になってしまうそうだ。
そのために、彼女の病院でも医師はころころと代わる。

≫≫続く

続編はこちら

誰も知らない精神病院の1日
『素朴な疑問 精神病院とはいったいどんなところなのか?』最終回

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