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誰も知らない精神病院の1日『素朴な疑問 精神病院とはいったいどんなところなのか?』最終回

キワ土井ネタ美
文/潜入ライター・キワ土井ネタ美

誰も知らない、知りえない情報を紐解くのが大好きな文筆家。
でも意外に、花を育てるのが趣味。


前編はこちら

誰も知らない精神病院の1日
『素朴な疑問 精神病院とはいったいどんなところなのか?』③

味気ない生活が
延々と続く

診療が終わり、昼食。昼食には麺類が多く出たりする。食事に変化をつけるためだ。

ナポリタン、ミートスパゲッティ、焼きうどん、焼きそば。
カレーライスやハヤシライスも昼が多い。
もちろん、疾患のある患者には消化の良い粥などが出される。
やはり、どれも冷めていてマズい。

昼食後は、患者たちが楽しみにしている週2回の入浴。
脱衣所は狭く、体を寄せ合うようにして服を脱ぐ。小さな温泉旅館を思わせる風呂場。
10人分のカランが並び、シャワーはない。
浴槽は広々としていて、椅子はないので、タイルに直接座ることになる。

「○○さ〜ん」

順番ずつ、名前を呼ばれるので、中に入ると、
腕まくりをしてボディタオルを片手に持った看護師が5人ほど待ち構えている。
素っ裸になるので気恥ずかしいがそうも言っていられない。後が詰まっているのだ。

頭と体を自分で洗うが、背中は看護師が流してくれる。
体を洗えれば、湯船へ。
張られた湯には、便が浮いていることがあるが、
看護師が気をつけてこまめに取っていてくれるので安心していい。

入浴が終わると、また夕食までやることもなく、ひたすらボォ〜っとする。
精神病院の1日は、こうして過ぎてゆく。

偏見・差別で
社会復帰が難しい

精神病院での1日を理解してもらえただろうか。
とにかくやることも娯楽もない。
治療するといいながら、逆に病気になりそうな気もするが、
平均でそのくらいの期間で皆退院していくのか。

「平均的な精神病院では新入院患者の約50%は3ヵ月以内に、
70%は6ヶ月以内に退院し、1年でみれば、80%の患者さんが退院します。
でも、症状が治まらずに、開放病棟から閉鎖病棟に移るケースもありますね」

ほとんどの患者が退院していくが、中には病状が重くなる患者もいる。
こんなに閉鎖された空間で患者同士の共同生活。
病状が悪化するのはもっともだろう。院内でトラブルなどはないのだろうか。

「一番多いトラブルは、やっぱり患者同士のケンカですね」

お互いに意思の疎通が取れない患者同士が毎日顔を合わせれば当然。
はじめから存在しない物がなくなっていると騒ぎ出し、
一方的に犯人を決めつけてしまう患者が多いという。
しかし、殴り合いが起こったり、大きな騒ぎにはならないという。

それは、毎食後彼らが飲み続けている安定剤で、感情の起伏がセーブされているからだ。
安定剤を使うと、どんな事態が起こっても、のっぺりとした気分しか湧いてこない。
体を動かすのも億劫になってくる。
しかしまぁ、院内の患者は、往々にして表情がない。

「それは薬のせいでもあります」

と彼女は言った。

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トラブルはまだある。それは“性の問題”だ。
短期間なら、安定剤の効き目でそんな感情は湧いてはこないが、
長期間の入院生活になると、そうはいかない。

痴呆などが進むと、老人は気分が若返り、男女がお互いの体を求めだすというのだ。

「ある82歳の女性があまりにも暴れるので隔離室に入れたんですが、
中で服を脱ぎだし、裸になって、新任の若い男性医師を誘惑しはじめたんです。

後でわかったんですが、彼女は男女混合になっている閉鎖病棟の複数の男性にレイプされて、
性の欲求に火がついてしまったようなんです。

レイプした側は20代、30代、40代の患者ばかり。
裸の彼女の姿を見て哀しくなりました」

そんな性の問題は痴呆症の患者だけではない。
男性患者同士が同じベッドで裸で抱き合っていたり、
女性看護師に抱きついて男性器を擦りつけたりすることは日常茶飯事。
看護師たちの苦労は尽きない。

「はじめてやってきた新任医師や新人の女性看護師は、
十中八九、顔を真っ青にして怯えてしまいます」

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最後に私は質問した。
退院した患者の社会復帰を病院側はどのように考えているのだろうか。

「社会復帰には一般の社会との分厚い壁が立ちはだかります。
社会復帰施設もないし、家族は受け入れてくれず、社会の偏見もあります。
軽度の入院記録でも差別されることがあります。
なにしろ、医療機関が患者たちの社会復帰に意欲的ではありません」

なぜなのだろうか、私は質問を続けた。

「どうしも腫れ物には触りたくない、日本人の気質が出てしまうんですね。
殺傷事件とか通り魔事件とか、なにか変なニュースがテレビで流れると、
“ひょっとして退院した患者が!”と、
ヒヤリとするのが精神病院に携わる職員の悲しい性なんです」

精神医療の現場は、やはり患者の頭と同じく絶え間なく混乱しているようだ。(完)

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